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トンマナだけでは伝わらないブランドイメージ
近年よく耳にする「ブランドイメージ」という言葉。その中でも「写真でどうブランドイメージを表現するか」という相談を受ける機会が増えています。
クリエイティブでトンマナを揃えるというのはよく聞きますが、トンマナだけでは形式的にルール化された印象となり、ブランドイメージの表現としては心許ない。そこで今回は、より具体的にライティングの見せ方によって、ブランドの印象の「何が」伝えられるかを紹介します。
キャップの表現とブランディングの関係
今回注目するのは「化粧水のキャップ部分」。意外に思うかもしれませんが、キャップはメタリック素材が多く、写真でブランドイメージや価格帯を表現する絶好のポイントです。各ブランドも、この「メタリックの見せ方」にブランドのメッセージを込めています。
まずはキャップの基本的なライティング

キャップは円柱形が一般的。白背景では輪郭が埋もれやすいため、シャドウでエッジを締めて立体感を出すのが基本です。さらにライトを追加し、反射による輝きを表現することでメタリックらしさが生まれます。
ただしキャップという限られた範囲で「立体感」と「質感」を両立させる必要があり、バリエーションを出しにくいのが課題です。
ブランドごとの表現の変遷と伝わる価値
実際に各ブランドの表現と約5年の推移(2025年現在)を比較すると、同じキャップ表現でもブランドのイメージ戦略が込められていることがわかります。
[E社] アイコニックな細めのセンターのシャドウから滲むようなグラデーション、左右の細めのシャドウで繊細に引き締めるスタイルは変わらず、時代と共により繊細に、より潤いのある表現へと変化しています。プレステージ性の高いエイジングケア商品として修復と高保湿をうたうブランドイメージを表しています。いつの時代も控えめながらも上品な輝き。繊細なトーンの階調で、エレガンスとエイジングケアの潤いを感じさせます。

[C社] 同じグループ企業のためブランドイメージの差別化を明確にしています。皮膚科学に基づく理論を提唱するブランドであるだけに、清潔感を思わせる理知的な表現。強いセンターシャドウと明快なハイライトで、メディカルな機能性と信頼を訴求しています。一方で最近のにじみの表現は、エントリー価格のグループ内の役割の明確化よりも化粧品としての本来の役割=潤いをユーザーに向けて発信していると言えます。

[S社] ハイライトとシャドウの黄金比がうかがえる理想的なバランスで表現しています。こうやって3社の変遷を並べてみると、潤いの表現はトレンドでしょう。一見複雑に見える配置を見事に調和させています。これはハイエンド層向けのブランドとして整理されすぎたメッセージ=記号ではなくリアルな生活、多様性の中の調和を意図していると考えます。

このように時代に応じた表現のトレンドとブランドの差別化、一方でブランドイメージの安定的な一貫性をこの狭い範囲で工夫を凝らし、各社は取り組んでいます。
まとめ
ブランドイメージを写真で活用する手法は、化粧品に限らず生活用品や食品にも広がっています。感覚的な印象をロジカルに設計することが、広告やSNSにおける写真表現では欠かせません。普段目にする写真も「ブランドの一貫性をどう伝えているのか」という視点で眺めると、新しい発見があるでしょう。